>河川上流中流と海岸を回復させるための新たな工事方法
2024/02/02 06/02 大幅加筆訂正
2023/05/07、2022/04/15 2020/04/10 2020/02/09、一部変更
2019/08/01、2017/07/07、2016/03/17、2015/12/11、一部変更
2015年8月20日掲載
河川上流中流や海岸の残念な状況 *各工事の紹介と目次は下部にあります
私の論述は、上流と中流での従来からの河川工事の多くが誤りであった事を明らかにしています。 従来の河川工事は、治水に利するどころか逆に治水状況を悪化させることが多い工事でした。また同時にそれらは、自然環境を悪化させ続けて来ました。それらの詳細については、「なぜ、上流の水の流れは透明なのか」の本文をご覧ください。
ここでは、それらの残念な現状を改善するための新たな工事方法を提案しています。
河川上流中流と海岸を回復させるための新たな工事方法の提案
河川の上流や中流には土砂の流下と堆積に関わる幾つかの規則性があります。例えば、上流に至るほどその場にある石や岩の大きさが大きくなっています。岸辺や河川敷の石や岩の大きさは、水中にあるそれらよりも大きいのも普通です。また、自然であれば、私が「自然の敷石」「自然の石組」と呼ぶ土砂流下抑制機能も普通に見る事が出来ます。
それらは全て、自然の治水的機能と言うべきものです。また、それらは、人類の発生以前より続いて来た、水中と水辺の全ての生物を育む自然の仕組みです。
私は、上流や中流の自然を取り戻し、自然の治水力とかつての自然環境を取り戻すべきであると考えています。 但し、自然が良いから自然のままを取り戻せと言うのではありません。
上流や中流の土砂流下の規則性あるいは法則を明らかにすることが出来たのですから、それらに基づき、より優れた新たな自然環境を作り出そうと考えているのです。
例えば、 コンクリート護岸が設置された上流や中流であっても、コンクリート護岸をそのままにして、石や岩が多い自然の流れを取り戻すことが可能です。
この工事方法によって多くの河川が昔のような流れを取り戻すことが出来ます。
河川の急激な増水と急激な減水の状況を短期間で解消することは出来ません。でも、それらの状況に大きな改善が無いままであっても、侵食された海岸を回復させる工事方法もあります。
この40〜50年ほどの間に誤った河川工事が多く行われたために、日本中の河川や海岸が荒廃しました。新しい工事方法は河川に失われた自然を取り戻すだけでなく、それらの環境をより良くしようとするものです。
しかし、自然を取り戻し改善するためには多くの時間が必要です。10年や20年で取り戻せる状況があるかもしれません。 でも、そのほとんどは、回復に100年やそれ以上の年月が必要だと考えられます。
重要なことは、その間に一貫して共通した考え方を保持しなければならない事でしょう。
以下に記述している新しい工事方法だけで全てが解決する訳ではありません。 多くの皆さんに考えて頂かなければならないことがまだまだあります。
現実に発生している状況をより詳細に観察して、さらにより良い治水方法を開発する必要があります。
新しい工事方法
私が提案している新しい工事方法は、その何れもが比較的に容易な方法で、それに要する費用も比較的に安価で、従来からの技術をそのまま利用できます。
ただし、それらの工事はその仕様の詳細を決定するのに、現場での観察力と経験に基づいた知識を必要とする場合が多いのです。 従来のように、現場から離れた場所で工事の詳細を決定すれば不具合が多くなります。
河川の上流から下流に至る状況と、それぞれの場所での異なった状況に対する綿密な観察と洞察力が必要です。
私が考案した方法以外でも、失われた治水や自然を取り戻す方法は可能ですから、現場で実際に工事に携わる方々や研究者の皆様による新しい工事方法の開発を強く望んでいます。
各工事方法の詳細はそれぞれ個別に記述していますので以下を御参照下さい。
(1)「コンクリート護岸に自然の岸辺を取り戻す・流れに平行した護岸の場合」
大きな石や岩を失ったコンクリート護岸の岸辺に、洗掘を無くし、自然の石や岩による岸辺を取り戻す方法です。また、コンクリート護岸の無い場所にも有効な護岸方法です。
例えば、山腹の崩壊などにより岸辺の土砂がむき出しになっている場所でも、流水による侵食を防ぎ。同時に、山腹の土砂崩壊の進行を止めることも可能です。
岸辺に石や岩を取り戻すことにより、流れの全体に、より良い「自然の敷石」状態と「自然の石組」状態を取り戻します。
*詳細は冒頭の小見出しをクリックして下さい。
(2)「コンクリート護岸に自然の岸辺を取り戻す・橋脚など水流が直接当たる場合」
上流や中流にある、屈曲部の護岸や橋脚などに洗掘が発生し易い事は良く知られた事です。この工事方法は、それらの洗掘を未然に防ぐことを意図した工事方法で、自然の土砂流下と堆積の規則性を論拠にした、今までに無い新たな考え方の工事方法です。
*詳細は冒頭の小見出しをクリックして下さい。
(3)「杭や柱を設置することにより土砂の流下を促進させる方法」
大きな石や岩が、周囲の土砂の流下を促進する現象を利用した新たな方法です。 波による作用で閉塞してしまう小河川の河口に設置すれば、渚で発生している海岸線方向への土砂移動を妨げることなく、河口への土砂堆積を防ぎます。
中流や下流で川床に土砂が堆積し易い状況にも適応出来ます。
*詳細は冒頭の小見出しをクリックして下さい。
(4)
「河口近くの海底に土砂止め構造物を設置して砂浜や砂礫浜を回復させる方法」
急激な増水と急激な減水により、河口から離れた海底深くに堆積してしまう土砂を、岸辺近くの海底に多く堆積させる方法で、河口の水底に設置します。
これによって、海岸線方向へと移動する土砂の量を増大させ、侵食された海岸の土砂の量を復活させます。設置前に河口と海岸の綿密な観察が必要です。
*詳細は冒頭の小見出しをクリックして下さい。
(5)「既設の砂防堰堤を改良する方法」
常に水流がある場所で、既に設置されている砂防堰堤を改良する方法です。 降雨時にのみ水流が発生する場所の堰堤については、下記「植生の回復を早める治山ダム」で説明しています。そちらをご参照ください。
改良の必要があるのは堰堤の上端の大部分が水平であるものです。また、スリット式の堰堤でも改良が好ましい場合もあります。
この改良工事方法は極めて容易であり安価でもあります。その詳細の決定と施工には、堰堤の上流部と下流部の観察と考察が必要です。
*詳細は冒頭の小見出しをクリックして下さい。
(6)「貯水式ダムの放流方法の改善」
貯水式ダムの放流方法をどのように改善するべきかについては「なぜ、上流の水の流れは透明なのか」の第6章で少し説明していますから、そちらもご参照ください。
*詳細は冒頭の小見出しをクリックして下さい。
*以前、この頁で掲載していた他の工事法方
以前、この頁では、上記以外の工事方法も掲載していました。それらは特許を取得したり、或いは出願だけだったりしていました。それぞれに効果があると考え出願したものです。その効果については皆様でご検討ご判断下さい。
それらは以下の通りです。参考の必要がある場合はご利用下さい。
*河川の石や岩の流下を押しとどめ「河川の川床を安定化させる方法」
(公開特許公報(A)特開2013-221376)
*「河口の水底に水制を設置して、失われた海岸を回復させる方法」
「特許5527824」
*「植生の回復を早める治山ダム」
「特許5524783」
その他、不明、質問等がありましたら、お問い合わせ下さい。
* 連絡先 〒420-0866
静岡市葵区西草深町12-14 静岡城西郵便局局留 杉村和高
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