「なぜ、上流の水の流れは透明なのか」
―河川上流中流の土砂流下と堆積の規則性を考える―
第5章の写真と説明
2024/05/25 一部訂正.
第5章 第2節 「コンクリート護岸」の不都合
図1 2011年 安部川支流 仙俣川
図2 2017年 安倍川支流 西河内川
図1左岸の岸壁の前は深く流れていますが、右岸側には自然の土砂堆積があります。
図2左岸コンクリート護岸の前の水底は小石や砂場ばかりで、右岸は石や岩もある岸辺です。
図3
2021年
安部川支流 西河内川
*コンクリート護岸の岸辺からは大きな石や岩も全て流下し続けました。
*護岸の川底には、侵食を防ぐコンクリートブロックが埋設されています。
図4
2017年
安部川支流 西河内川
*右岸コンクリート護岸の前にコンクリートブロックが敷き詰められました。
*コンクリート護岸が無い山側には石や岩が残されています。
図5 2018年 安倍川支流 足久保川
図6 2018年 安倍川支流 足久保川
*ここでは、幾つかの砂防堰堤の間が全てコンクリート敷きの河床に変えられています。
図7
2018年
安倍川支流 足久保川支流
*両岸コンクリート護岸により大きな石や岩の全てが流下し、河床が砂や砂利だけの凹字型になった小規模な流れ。
図8
2010年
富士川支流 佐野川
*コンクリート護岸に囲まれた河川敷のほとんどが「蘆」に覆われています。
図9
2007年
富士川支流 早川
*河原が広く石や岩も大きく多いのにコンクリート護岸に沿った流れは容易に護岸を離れません。
図10
2018年
安倍川 バイパス橋下流右岸
*岸辺に「水制」を設置しても、水流は護岸の岸辺に沿って流れようとします。手前が上流です。
図11
2021年
富士川支流 戸栗川
*大きな岩も石もあるなかで、砂が多く広い河川敷を分流して流れている透明で綺麗な水。
*この場所も両岸コンクリート護岸で「自然の敷石」は全く形成されていません。
図12
2021年
富士川支流 波木井川
*昔はアユやヤマメの釣り人の姿があったこの付近でも、両岸のコンクリート護岸以後、石や岩の多くが失われ、砂や砂利ばかりの水流が浅く蛇行して流れています。
*ここでも「自然の敷石」は全く形成されていません。
図13
2023年
太田川支流 敷地川
*上流の虫生、大増水の5日後に撮影。これより上流は谷が狭くなり人家はありません。
*行方不明や家屋の浸水被害が発生したほどの大増水の直後なのに、増水後どこでも見る大きな岩や大量の石や岩は全く見あたりません。不可解です。
*ここも両岸コンクリート護岸で、川底は砂や小砂利です。
第5節 堤防の水流側の新たな「コンクリート護岸」 「安倍川の場合」
図14 2018年 安倍川 新東名の下流側
図15 2018年 安倍川 安西橋上流側
*図14河口より約12Km付近。 広い河川敷を水流が網目状に流れています。右が上流。
*図15河口より約6Km付近。砂や砂利が堆積して、水流の跡を示しています。
図16
2018年
安倍川 牛妻上流
*図16河口より約18Km付近。
*図14〜16付近一帯は砂や砂利の堆積が甚だしく、水流は増水の度に蛇行や網目状を繰り返しています。
*少し小高い河川敷は砂利や砂ばかりです。川底の跡が白いのは干上がる時まで濁った水が流れていたからです。
「安倍川」の「瀬切れ」現象
図17 2019年 河口より約7Km付近
図18 2019年 河口より約7Km付近
*いずれも、R1バイパス橋より上流側の様子で、図17は右岸方向を、図18は左岸側です。
*網目状に分流した水流が所々で分断され、全く流れない場所が次第に拡大していきます。
図19 2022年 安倍川 狩野橋上流左岸
河口より約9Km 付近。
*堤防の水流側の「コンクリート護岸」はこれより上流側から始まっていますが、ここでは、その護岸のほとんどが既に土砂で埋まっています。中央右端から護岸の上端が少しだけ見えます。
図20
2023年 9月24日昼過ぎ
安倍川 安西橋左岸より
*前夜の豪雨の半日後、河川敷公園の水はまだ残っている。
*川幅一杯の水位は、堤防内側のコンクリート護岸より少し低い。
図21
2023年 9月24日昼過ぎ
安倍川 安西橋より
*上と同じ時間、水流は堤防内側のコンクリート護岸一杯に及んでいるのに、流れの中央付近には既に中州が出来始めている。